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Macbeth

A Sheffield Theatres Production 'Macbeth' @Crucible Theatre

本公演ではなくドレスリハーサルでの鑑賞。
たった1ポンドでとてもお買い得だった。

今回の公演の目玉は、なんといっても舞台であろう。
中央の円い舞台を客席が360度取り囲んでいる。
座席表を見る限り、舞台の三方が囲まれているだけなので、普段は舞台奥となっている舞台に座席を特設してあるようだ。
私の席は座席表に載っていない番号だったし、座席の色も違ったので、どうやらその特設席に座っていたらしい。
舞台は一見すると石畳に岩で円が描かれているだけなのだが、実はかなり大掛かりな装置だった。
晩餐会のシーンでは、舞台中央が盛り上がって円卓となった。
特に面白かったのがこのシーンで、(万一これから鑑賞される方がいらっしゃったら読まないように!)バンクォーが2度目に登場するときはなんと円卓のど真ん中からなのである。
ご馳走の真ん中からヌッと出てきてマクベスに襲いかかろうとする様はなかなか笑えた。(もちろん、客席大笑い)
マクベスの方もお盆を落っことしたり、椅子でガードしようとしたり、いなくなった後も円卓を覗き込んだりと、いいリアクションを見せていた。
亡霊が襲ってくるのは考えようによっては怖い話なのだが、ここはお化け屋敷で人を驚かせるのと同じで、こちらは何が起こるか全て分かっていて、マクベスがいかに怖がらせられるかを安心して楽しめる。
フードを取ると血まみれのバンクォーが現れるあたり、伝統的なお化けの手法といえるだろう。
舞台中央の穴(バンクォーが出現したところ)は、魔女の呪いのシーンでは大釜として使われていた。

演出の方向としては、なるべく原作に忠実にやろうとしているように思われた。
予言のシーンは舞台中央の穴(=大釜)をうまく使って、釜から亡霊が出現しているように見せていたし、ちゃんと小道具で蛇などの材料も投入していた。
森の木の枝や晩餐といった小道具も使われていた。
血もふんだんに使われていた。
といっても斬られたときには出るわけではなく、衣装がえのときに付けてきているという意味だ。
冒頭のマクベス(戦から帰ってきたところなので)は返り血を浴びているようだし、マクベスがダンカンを殺害して戻ってきたときは手から血がしたたるほどたっぷり、血まみれの亡霊は本当に血まみれ(その役者は後にも出てきたので、洗うのは簡単なようだ)。
使われている効果音は、亡霊のところは不気味な音を流したりして、わりとベタだった。

短剣が見えるシーンは、短剣は出さずマクベスの演技のみ。

演出で気になったのは、マクダフ一家惨殺のシーン。
暗殺者と一緒にマクベスが入ってきて、赤ん坊を抱っこするのだ。
赤ん坊の泣き声がやんだのでてっきりマクベスが殺したのだと思っていたのだが、マルコム達と戦う前に赤ん坊を抱っこしているシーンがあるのだ。
その後は赤ん坊は出てこなかったので、マクダフの赤ん坊を生かしておいたのか、それともいつの間にかマクベス夫人との間に子どもが出来たのかはわからない。
全く同じ小道具(毛布のかたまり)だったので、同じ赤ん坊と見た方がいいのだろうか。

赤ん坊と言えば、どうしてマクベスはバンクォーの子孫に王冠を取られることをあんなに嫌がるのだろう。
確かに自分で獲った王冠を他人に取られるのは嫌だが、そもそもマクベスには子どもがいないではないか。
とにかく王冠がほしくて、その後(自分の跡継ぎ)までは考えが及ばなかったということなのだろうか。
マクベス夫人を暗殺して新しい妻を娶るなり(『リチャード三世』のアンのように)、愛人を作るなりして世継ぎを作る、ということは理論上は可能そうだけれど、夫婦仲は熱いようだからそれもなさそうだ。

マクベス夫人の衣装は、最初はシンプルな無地のドレスだった。
背中や袖が編み上げになっている。
ロンドンのグローブ座の展示で、「背中で結ぶコルセットは自分ひとりでは着られないので、召使いのいる上流階級のもので、前で結ぶタイプは召使いなど下層階級のもの」という説明を読んだが、きっとマクベス夫人の衣装にもこれが当てはまるのだろう。
とはいえ、靴もはいておらず、メイクも心なしかシンプルで(王妃になってからは赤のアイシャドウが入ったような)、鬼嫁でも能面のように美しく静かな妻でもなく、ごく普通の妻が野望を抱いたがために冷徹に変貌していく恐ろしさを感じた。

マクダフとマルコムが問答するシーンではマクダフの台詞に矛盾があったと思ったが(たしか家族に何が起こったかをまだ知らないはずなのに言及がある)、そこは削除されていたように思う。

役者のよしあしは英語だったのでよく分からない。
少なくとも、見るに耐えないというわけではなかった。
門番など下層階級の登場人物はスコットランド訛りでしゃべっていたようだ。
今回はイングランドでの公演だったのだけれど、スコットランド公演だとマクベス以下全員(魔女は除く?)がスコットランド方言で話すのだろうか。
一番若い役者(マクダフの息子、フリーアンスなど1人数役)はイギリスの現代っ子のような喋り方だったが、まだ経験を積んでいないのか、元々そういう喋り方なのかは分からない。
他の人たちは舞台っぽい力の入った喋り方だった。

ダンカン王が何かと臣下の頭を触るのだが、あれはスコットランドでの祝福の与え方か何かなのだろうか?
日本の舞台では見ないので、ちょっと気になった。

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