久々の更新。
最近は前ほど劇を観ていない。
実を言うと、前回更新から今までに板橋のR2とニナガワのH6を見てはいるのだが、前者はR2を初めて観たのであまり比較するネタがなく、後者はあんまり(かなり?)気に入らなかったので書く気になれなかった。
Sh以外だと宝塚の「トラファルガー」と橋本さとしの「ダブル」を観た。
宝塚は来年ロミオとジュリエット(今年バウと博多座でやったものを大劇場用に手直しするらしい)をやるそうなので、とっても楽しみだ。
久々の英語劇なので、前半の3分の2くらいは耳が慣れなくて、周りが笑ってるのに聞き取れなくてちょっと焦った。
どうしようと心配になったけど、後半には普通の台詞はなんとなく聞き取れるようになっていて安心した。
英語の発音は、なんとなく母音があいまい化しているような印象を持った。
homeが昔に比べて「ハウム」に近くなってきている、というか(積極的に「ア」に近づいたのではなく)口が緩んでいるような気がする。
オーストラリア英語はイギリス英語よりも「緩んでいる」といわれ、オーストラリア人からするとイギリス人の発音は「(はっきり発音するので)口が疲れそう」と感じられるらしいが、イギリスがオーストラリア化しているのだろうか。
日本でも若い女の子たちは母音の発音が若干あいまい化している気がするので、世界的に見られる変化なのかもしれない。
きっと言語の経済性とかで説明できるのだろう。
「から騒ぎ」(坪内逍遥訳だと「むだ騒ぎ」)は最も好きな作品の1つだ。
「結婚しないと言ったのは、それまで結婚しないと思ったからだ。」はブログのタイトルであるが、これは「立ち聞き」の場面から取られている。
「から騒ぎ」では特に「立ち聞き」の場面が楽しくて好きなのだが、
(噂話を仕掛ける側、仕掛けられて立ち聞きする側双方の言動が楽しい)
今回はベネディクトとベアトリスを対比させて見てみた。
台詞がちゃんと聞き取れていないので怪しいが、ベネディクトの方は「ベアトリスが自分を愛していた」という発見(?)に歓喜する面が強く現れるが、ベアトリスの方は「ヒアローと侍女が自分をあんな風に悪く思っていたなんて」と自省する側面の方が強く現れていたように思える。
これは男女の差(当時の価値観における)にもよるのだろうか。
ベアトリスの方は分からないが、おそらくベネディクトは罠に引っかかる前からベアトリスのことを憎からず思っていたのだろうな。
(男はどうでもいい相手からでも好かれると嬉しくなるっていう分析もあったような気がするので、「相手が誰だろうと(自分が相手に好意を持っていようといまいと)、自分が好意をもたれていると分かったら無条件に男は嬉しくなるものだ」という見方もできるかもしれないが)
ジラール『羨望の炎』の分析だと、2人は元々お互いに好意を抱いているのだが、どちらかが先に告白してしまうとうまくつりあいが取れなくなってしまうので(模倣理論を使って説明されていたが細かい中身は忘れた)、好意を表し始めるきっかけを探していたんだとか。
そういえば、ベアトリスがめっきりおとなしくなってしまうのを不満に思っている人がいたが、当時の価値観ではベアトリスのような才気煥発な女性は流行らないのだろうか。
18世紀末までくれば「
高慢と偏見」のエリザベスのような女主人公が出てくるのだけれど。
(エリザベスとベアトリスはよく似ているが、ベアトリスの方が茶目っ気が強い)
今回は20世紀前半のエドワード朝を舞台としているが(ベネディクト達が従軍したのは一次大戦あたりだろうか?)、軍人の衣装が赤いジャケットの軍服だったので、どうも「高慢と偏見」を思い出して19世紀に見えてしまった。
舞踏会のシーンなんて「
プライドと偏見」にだぶって仕方が無かった。
頭のいい女性というと「
ヴェニスの商人」のポーシャもいるけど、だいぶ雰囲気が違う。
シェイクスピアの中で近いのは「
恋の骨折り損」のマライアかな。
今回は1人2役で、女性キャストが原作より若干多かったので、最初ちょっと混乱した。
ドン・ジョンの手下ボラチオの仲間コンラッドと、ボラチオに惚れる侍女マーガレットが同じ人だったので、コンラッドがマーガレットに見えて混乱した。
(衣装が違うので、それで別人だと考えるべきだったようだ)
下層階級の言葉遣いのおかしみは、英語で聞くと全然分からなくて残念。
分かるようになりたい。
最後に大団円を迎えて踊っているところでドン・ジョンが捕まえられてくるのは唐突な感じを受けたが、あれはどういう意味を持っているのだろう。
確かに悪役は罰せられなければいけないわけだが、ドン・ジョンの手下が捕まるのとタイミングをずらしたのはなぜだろうか。
映画だとドン・ジョンを捕まえる前に追跡するシーンが挿入されたりするのだろう。
クローディオとドン・ペドロの前でヒアロー(に化けたマーガレット)が浮気をする場面が無くてあれっと思ったが、実際このシーンは存在しなかった。
ドン・ジョンが仕掛けた次の場面で、ボラチオが事細かに説明しているだけである。
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