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ハムレット

東京ノーヴイ・レパートリーシアター「ハムレット」

CoRich

無料招待で行ってきたけど……正直、イマイチ。

5段階評価の1。

また無料招待されたとしても二度と行かないだろう。


19時開演なので飯を先にするか悩んだが、下北沢をウロウロしてる間に開場時間を過ぎてしまった。

2時間45分(休憩15分含む)つまり22時近くまでやると聞いて後悔したが、空腹で眠れなかったので(笑)結果的には良かったのかも。

腹の虫が鳴いたのは恥ずかしかったけどね。


芝居小屋はとっっても狭い。

ふだん行ってるやつを小劇場とすると、極小(ミニマム)劇場だ。

座席は2列だけで50人入れるかってとこだし、舞台も右側(室内場面)は椅子2列分ほどの幅しかなく、左側(屋外)も幅は椅子5列分くらいだろう。


狭いせいか全然動かない。

基本、並んだ椅子(客席を向いている)に座ってしゃべるだけ。

相手の方を全く見ないから、すごく変な感じ。

リアルを目指してるらしいが、全体的に違和感ありすぎ。

退場するときは摺り足で90度直角に曲がるし。


あと、照明暗すぎ。

スポットライト1本とかリビングのシャンデリアみたいのだけとか(電球色)、かなり近いのに役者の顔すらよく見えない。

夜の場面は分かるとして、オフィーリア狂乱やラストの決闘は昼間のはずだから、もっと明るくして欲しい。

役者見せないで何がしたいわけ?

まさか…自信がない?(んな馬鹿な)

暗いと眠くなるんだよなぁ。

周りも寝てる人がちらほら。


役者のレベルも今一つに感じた。

ハムレットはやたら平板な話し方だった。機関銃ぽい。

最初が亡霊に会った直後のシーンだから、頭おかしくなって変なしゃべりになったかと思ったが、ずっとそうだったのでこういう話し方らしい。

後半は慣れてきたのであんまり気にならなかったが。
ハムレットは心の声(予め録音したものを流す)が多かったのもちょっとがっかりだった。

わざわざ足を運ぶからには、演技できるところはなるべく演って欲しい。

聞いてるだけだと退屈。

首の後ろから声がすると背筋に寒気が走るし…。

いっそクナウカみたいに2人1役にすればいいのかも。


ポローニアス(なぜかポローニと呼ばれてた)はよぼよぼジジイだった。

「少なくとも昔は狡猾な政治家だった」と誰かが解釈したのを読んだ気がするが、見る影もないな。


クローディアスはなぜか敬語混じり。

「ハムレットをイングランド送りにしましょう」とか。

河合訳はそうなのか?

穏やかすぎて王っていうより人のいいおじさんって感じ。

毒盛るようには見えない。

なお話し方はこの人が一番ましだったように思う。


ガートルードは鼻にかかった弱々しい声だったが、個人差だろうからいいや。(あんまり好きじゃないけど)

今作では「弱き者、汝の名は女!」がぴったりな人物像。

クローディアス懺悔の後出てきて熱い抱擁をかわすことから(あれは必然性ないと思うんだが)、クローディアスを愛していて、共犯である可能性が高いが、ハムレットに責められおろおろするのは精神的幼さを感じさせた。

すごく性的魅力があるようには感じなかったから、『ガートルードとクローディアス』みたいに長年クローディアスと不倫関係にあったのかもしれない(尤も、あの本だとガートルードは魅力的な若い女性であるのだけど)。
クローディアスは純粋にガートルードを愛しているようだったし。


ローゼンクランツ(ギルデンスターンの方かも)と狂乱前のオフィーリアは普通のしゃべり方、つまり舞台ぽくない。

何が違うのかな……抑揚と発声?


レアティーズはまあまあだったが、葬式で叫ぶところが応援団ぽくなってしまっていた(語尾の伸び)のが残念。

叫ぶのはハムレットのがうまかった。

この役者は帽子で顔が良く見えなかった。


あんまり大きくなさそうな劇団なのに1人1役で驚いた。

12人くらいだったかな。


亡霊は懐中電灯で顔を下から照らすという、ベタすぎてネタとしてしか使われないような所作で出てきた。

亡霊は必ず単独で左側(屋外)にしか現れず、ハムレットとの会話もない。

2回目、つまり(最初にホレイショーが見る亡霊はカットなので)ガートルードの部屋で見るシーンは亡霊がいなくなった後に屋内のハムレットが「あそこに父上が!」と言うので、ハムレットの妄想にも見える。(ガートルードにも見えているが見えていない振りをしているという演出もあるらしいが、少なくとも今回はそうは見えなかった)


ホレイショーは大抵ハムレットと同年代の設定だが、今回は髭のおっさんでびっくりした。

十数秒誰だか分からなかった。


ローゼンクランツとギルデンスターンが芝居役者の話をするところで、ハムレットの心の声が聞こえてくるのだが、ローゼンクランツ達が話し終わってもしばらく心の声が聞こえ、不自然な沈黙が流れてしまうので、あそこはローゼンクランツかギルデンスターンがハムレットに声を掛ける所作が欲しかった。(この演出自体は面白いと思ったけれど)


オフィーリアが気が狂う瞬間の演出があったが……?

狂った後のオフィーリアは服装はそのままだが、しゃべり方がはっきりしなく(ふわふわした感じ)なっていた。

花じゃなくて棒を持ってローズマリー等と称していたが、狂気なのでこういう演出もありか(前にどこかで見た気もするけど)。

庭に溝と池があったので、オフィーリアが溺れるシーンがあるだろうと思ったけど、それはなかった。


ハムレットが海賊に襲われる話はなくなって(?)いて、国書をすり替えてそのまま帰って来たようだったが、それだと「独りで」帰国の説明がされてないような(観客はそこまで気にしないだろうが)。


墓掘りの話は比較的面白かったが(訳の面白さに依るのだろうが……)、パンを頬張りながら話すもんだから何を言ってるのか分からない。

シェイクスピア劇は聞かせるものでもあるのだから、大いに減点するところだ。


決闘シーンは事前のクローディアスとレアティーズの話がないから剣に毒が塗ってあると分からない。

そもそも剣が入れ替わってないような?


クローディアスがいい人そうだったので、「まさか王が毒を盛るなんて!?」という台詞は妙に信憑性あるように聞こえた。


最後はガートルード、クローディアス、ハムレットが3人並んで椅子に座って死亡。

とても違和感を覚えた。


ホレイショーに語り掛けるところも心の声だったが、それだとホレイショーに伝わらないから駄目だと思う。

あの語りにはホレイショーの自殺を止めるという重要な役割があるので、はっきりと伝わらなければ駄目なのだ。


思い返してみても、全体的にげんなりさせられる芝居だった。

こんな気分にさせられたのは(幸いなことに)久しぶりだ。

酷かったハムレットというと奥州版「葉無礼」を思い出すが、あれは解釈がめちゃくちゃだっただけで役者はそれなりにまともだったような気がする(オフィーリア溺死のシーンは印象に残った)。

今までで一番最悪だったシェイクスピア劇は「タイタス/アフタートーク」だが、あれも演出家に演出する資格がないだけで(観客に向かって「俺の失恋の痛みは誰も分かってくれない」というスライドを淡々と見せ付けるのはいかがなものか)、役者は小演劇としてのレベルはあった。(悪いのは演出家であって役者に罪はない)

今回の「ハムレット」の欠点は、舞台の暗さもあるが、役者の質の低さも多いに関係しているだろう。

金を払わせているんだからもっとちゃんとした芝居をやってほしい。

  Hamlet (Arden Shakespeare: Third Series)

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