忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Hamlet

インターナショナル・シアターカンパニー・ロンドン 「Hamlet」
なんだか1人でいろんな役をこなしていると思ったら、7人で演っていた。

3人や1人(!)でシェイクスピアを演る劇団もあるが、7人でHamletはちょっときつかったようだ。

フォーティンブラスが完全に無視されていたのはそのせいもあるだろう。



1000円だからしょうがないが、講堂の座席は固い。

特に背もたれ。ただの木だもん。おしりも痛くなった。



英語はやっぱり大変だった。

よくわかんないので(汗)、演出の仕方でも見ることにした。





冒頭は、ハムレットが溺れるイメージ。





1.2では、(どこだかちゃんと覚えていないけど)王の語りの途中あたりでオフィーリアが走って入場し列に加わる。

ひょっとしてハムレットとflirtしてたのか?



このオフィーリアは終始ういういしい10代の少女のイメージであった。(立ち居振る舞いが少しぎこちないというか、少女らしい「抜け」た感じがあった)

小柄でもあったし。





ハムレットは拗ねている少年のイメージ。

くるくる天然パーマ(っていうのか? LOTRのフロドみたいな)の若い俳優が演じていたせいか、どことなく若いイメージがあった。


小田島雄志のシェイクスピア遊学』だったかに、「ハムレットは少年から大人の男へと一気に成長する」とあったが、このハムレットは終始少年のままであったような。


ハムレット型というとうじうじ考えていて実行しないタイプをさすが、このハムレットは活動的、元気。

もちろん、それはハムレットのイメージとして間違っていないのだけれど。



黒いトレンチはASCでも着てたような・・・。




どうでもいいけどハムレットの役者が左利きで、親近感を覚えた。

よく見ると左手を使ってるんだな、これが。




ホレイショーは文官らしい弱弱しさがあるかと思ったが、そうでもなかったかな。

また、初登場シーンで恭しいポーズだったから、友人とはいえハムレットとは臣下としての距離を保っているのかと思ったけど、ボディタッチ(主に肩を叩く)が頻繁に見られたので、意外と心理的距離は近いようだ。



1.3、ポローニアスがレアティーズにBrevity is the soul of wit.といって長々と教訓を垂れる場面は、1項目終わるとレアティーズが行きかけ、思い出したようにポローニアスが次を述べてレアティーズが苦笑いして立ち止まる、という笑いをとれる演出。

ポローニアスの後ろではオフィーリアが彼の所作を真似ていたりして、この兄妹は訓示を苦笑いしつつも受け流している様子。

「奥州幕末のハムレット」ではレアティーズがまじめに聞いていたように記憶しているけれど、ここは「やれやれ」と聞いたほうが現代人の感覚にあうのかなぁ。



1.4、亡霊が全身白タイツでちょっと笑ってしまった。経帷子?


声に変なエフェクトかかってると思ったら、よく見たら亡霊以外の男性キャストも同じ台詞を喋っていて、声が変に反響して聞こえていたのだった。

面白いテクだな。器具が使えないときに応用できそう。

でも、人の声が複数あると不気味なイメージになるというのは、なんとも皮肉というか、不思議なものである。




亡霊が床から「誓え~」とやるのは、どうするのかと思ったら、平均台みたいな台が舞台中央にあって、その上にハムレット以下が乗っているのだけど、本当にその下に入って「誓え~」とやってた。

ここは笑うところ…だよね?




2.1、オフィーリアが狂乱のハムレットを描写するシーンだが、このシーンの前に実際にハムレットがその動作をしていて、オフィーリアはそれを再びポローニアスに語ってきかせる。

どうもこの劇団は実際にやりたがる派らしい。

ケネス・ブラナー版だとここはどうしてたっけな・・・。

あの映画、1.2のときはオフィーリアとハムレットのベッドシーンがフラッシュバックで入っていてびっくりしたっけ。




2.2、ローゼンクランツとギルデンスターンは道化役。

二人ともメガネに帽子でそっくり。

王様どころか、後にハムレットさえ二人を取り違えた。


この二人はデンマークに帰ってきてとても嬉しそうである。


こんな馬鹿共ならハムレットに殺されても仕方ないかな…と思わせた。

でも、なんでハムレットはこんな奴らと友人なんだろ?




ガートルードとクローディアスがいちゃつこうとするシーンが挿入されていたから、二人は愛し合っているというわけなんだろうか。




Word, word, word.のところは、紙切れを読んでいて、それをちぎって渡すたびにword,と言っていた。

読んでるんじゃなくて考えたことを口に出しているイメージ。




役者がヘキュバをやるくだりは省略。

ここ見たかったのになぁ。




3.1、to be or not to beのくだりの前にハムレットが平均台(?)の端に立ってタイタニックのポーズ(違)をしてた意味は分からないが、発言の前に所作が入ることによって後続する発言に注意を向けさせる効果はあったように思う。


ここではクローディアスとポローニアスがマントをかぶってしゃがんでいるのだが、クローディアスにハムレットが寄りかかって発言しているとき、彼は下の人物に気付いているのか?


松岡訳のあとがきには、ハムレットはオフィーリアの「高貴な贈り物はお返しします」云々のくだりでポローニアスの存在(実際にいるかどうかというよりも、オフィーリアの背後にポローニアスがいるということ)に気付くが、今回の演出ではそういう方向はなかったような。




オフィーリアに「尼寺へいけ」と言う一連の発言のさい、ハムレットは「オフィーリアのことを本当は好きだけど、敢えて嫌いな様子をする(これは狂気を装うため彼女を突き放そうとしているとも、王妃のせいで女性不信になったからとも考えられる)」という感じだった。

つまり、、、ハムレットは本当は狂っていないということか。




3.2、王を見張るべきホレイショーの不在。

理由は簡単。ホレイショー役が「役者」を演じなければいけないから。

キャストが足りないからかもしれないが、傍観者ホレイショーがいないのは残念なところ。




面白かったのは、王がLight!というと本当に明かりがついて、休憩時間に突入したこと。



こんなところで区切るなんて初めてだ。




3.3、この後のくだりはだいぶ飛ばされていて、よく覚えてない。


3.2の途中で切ったせいか、後半はわりと巻いたというか、省略が多かったような。



王が祈っているシーンは、祈り終わったあと、周りの修道士がお面をつけていて、それを見てギャーと叫んで逃げ去るという間抜けなことになっていた。




3.4、ポローニアスは刺殺じゃなくて撲殺だな。(んなことどうでもいいが)

「やられた!」って言ったっけ?

ハムレットは狂気ぽくなく、殺してしまったことを後悔している様子。



このガートルードはハムレットに責められて初めて自分の結婚を罪と考えたようだった。



その後、クローディアスにハムレットの様子を語るシーンは、ありのままではなく、まるで読んでいるかのような口調。

視線はクローディアスではなく舞台中央(観客席)を見ていた。

おそらく、ハムレットの味方をすると決意したんじゃないか。



先王ハムレットの幽霊はしっかり登場。

ガートルードの視線の先にいるので、本当に見えていないのか、見えているけれど見えていないと言っているのか判断がつかなかった。




死体のありかを尋ねるところで、クローディアスはふざけたことを言うハムレットをぶん殴った・・・。

意外とこのクローディアスは武人ぽいところがある。




4.5、ポローニアスの死体を見てすぐオフィーリアが狂うという演出。

もっと期間がありそうなイメージだったんだけどなぁ。

だって、ハムレットがイギリスに向けて発って、帰還するのだから、1ヶ月くらいは最低でも経っているんじゃないのか・・・?




オフィーリアの狂気というと、明るく不自然な少女(幼女?)らしい可憐さをにじませるイメージがあったのだが、このオフィーリアは憔悴しきっている。

そのせいか「狂気」というイメージは強くは伝わってこなかった。

あれなら治りそう。




2度目に入場して退場するときの最後の台詞(Good byeとかなんとか)は、どもって発音されていた。

それは狂気のあらわれか?

機械的に繰り返されるところになんらかの不吉さはあるが、死の前兆としては弱くないか?

噴水で溺死する(現代版)くらいの狂気のインパクトがほしいかな。





4.6、ハムレットから水夫を通してホレイショーが受け取る手紙を、なんとホレイショーが王妃に届けている。

これは王妃がハムレット側についたことを暗示しているんじゃないかなあ。

なかなか大胆な改変である。




4.7、2.1ほどではないが、口頭で描写されるものが実際の演技で表現される。

といっても、抽象的で、水色の布を巻きつけたオフィーリアが登場するというわけだが。



このときの布のドレープは美しかったっけ。

水が印象的だから、その後のレアティーズの"much water"も印象に残った。



5.1、墓堀は1人だけ。
ポローニアス役がやってたな。


レアティーズとハムレットが嘆くシーンはあんまり印象に残らなかったなぁ。なんでだろ。

オフィーリアの死体がないからかなぁ。




5.2、5.1から間髪をほとんどいれずオズリック登場。

オズリック=墓堀=ポローニアスなので、ちょっと変な感じ。(衣裳が違うから別人だとは分かるが)



レアティーズが「この剣は軽すぎる」といって毒の塗られた剣を持ってくる所作はなし。





王妃は毒が入ってるとは知らずに飲んだと思う。

「杯に毒が!」と言ったとき、驚いたようだったから。



王妃が死んだときに一旦音楽が止んで、レアティーズが真相を告白し終わるとまた音楽が始まった…んだったかなぁ。



ホレイショーに飲ませないために、ハムレットが毒杯を飲み干す。

これは初めて見た。

意外だったが、これはこれでかっこいい。



で、上記のようにフォーティンブラスは登場せず、ハムレットが死んでthe end。





色々改変があったが、後半はもうちょっと濃くてよかったんじゃないかなぁ・・・。





   

拍手[0回]

PR

この記事にコメントする

Name
Title
Mail
URL
Comment
Pass
Pictgram
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

この記事へのトラックバック

トラックバックURL

Calender

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Search

東京近郊シェイクスピア劇スケジュールTwitter

Twitter ブログパーツ

Ninja AD

アクセス解析

カウンター