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シンベリン

子供のためのシェイクスピアカンパニー 「シンベリン」

CoRich 紹介ページ

「子供のための」と銘打ってるだけあって、楽しく笑える舞台であった。
多くのネタが仕込んであったが、それを是とするか否かは好みによるだろう。
私は、悲劇でこういうことされると腹が立つが、喜劇でならいいかな。
正確に言えば、悲劇のシリアスな場面で無理やり笑いを取るのが嫌なだけで、悲劇でも笑える場面(マキューシオの卑猥な冗談とか)なら大いに結構。


前座のヘルメットはブルーライトヨコハマだった。
歌っていたのはたぶん王妃。
子ども向けなのにネタが古くないか?
劇中でも「はじめ人間ギャートルズ」使ってたし。


最初はポステュマス+黒コート集団で、ヤーキモーの「胸にほくろが~」のくだり。
ポステュマスが苦悶して倒れ、亡霊の場面につながり、本編へ。

ぶっ倒れたポステュマスはそのまま残り、イモージェンがやってくる。

人形はジュピター役だった。
他のキャラの台詞(特に説明文)を喋っていた。
全てをみそなわす神という感じでよかったと思う。
確か、人形の導入理由のひとつが「独白が不自然に見えないように話し相手を作る」だと読んだ気もするが、超自然の神なら全てを知っていていいわけだし、まさに神出鬼没でも問題ない。

クロートンは馬鹿っぽいのはいいのだが、役者のせいか純真な感じがでてしまって、殺されるのがちょっと可哀想だった。(特に、死体をポステュマスと勘違いして嘆くイモージェンの脇で「ポステュマスは死んでないよ」と言う場面)
訳を読んだ感じだともっと邪悪さがあったように思うが。
たぶん、「目の前で強姦して~」が「目の前でもてあそんで~」と婉曲表現になってたのもあるだろう(中学生の姿も見えたから、これは仕方ない)。
強がりを言うバカは『十二夜』のサー・アンドルー・エイギューチクを思わせるようであり、殺されるバカは『あわれ彼女は娼婦』を思い起こさせた。

クロートンとポステュマスの決闘が実際に行われた。
その後の貴族たちとの会話では、クロートンがホラを吹き、貴族全員がそれに突っ込みを入れていた(突っ込みはスルーされる)。
原作だと決闘の様子は分からないので、貴族2の傍白で実際の状況が分かり、その落差に笑うのだが、確かに目の前で全部やってくれた方が分かりやすいし、アクションがあった方が子どもも飽きないんだろう。


前半は明るさ一辺倒だったが、後半は戦もありやや暗い雰囲気もあった。
戦争場面のある喜劇って他にあったっけ?
『終わりよければ~』も出兵するが、ペーローレスをいたぶる兵士は味方の変装であり、真剣な命のやり取りではない。

8人しかいないので、メインキャラも2役。

ポステュマス
イモージェン
シンベリン
ヤーキモー=ベレーリアス
ケイアス・リューシアス=フィラーリオ?=コーニーリアス(人形つき)
王妃=アーヴィラガス
クロートン=グィディーリアス
ピザーニオ

上記で分かるように、最終幕でヤーキモー=ベレーリアス、ケイアス=コーニーリアスがかぶってしまうが、そこは逆手に取って笑いをとっていた。
どうやったかと言うと、まずヤーキモーとケイアスを出し、ヤーキモーの断罪が終わった時点で引っ捕らえる(退場)。
でもって、ベレーリアスが飛び出してくる。
息子二人に「今までどこに!?」と言われ「物陰で全部聞いていた」(登場時~この台詞で笑い)
で、王子の話が終わると「山へ帰る」と退場、すぐにヤーキモーが走って入場、また「物陰で全部聞いていた」と言うから観客笑う。
演劇の世界では、同じ人でも別の役なら別人として捉えるのが前提の気がするので、同じ人(役者)がすぐ出てくることに笑っていいのか迷ったが、回りの観客の反応を考えると、そういうことは気にしないで笑ってよかったのだろう。(ちなみにヤーキモー入場の台詞を聞いたとき爆笑だった)

人と言えば、ヤーキモーが罪を告白し「ポステュマスが目の前にいるようだ」と言ったときに本当に目の前にいたのにも笑った。

最終場で、色々な真相が判明して王が「わけがわからない」と言ったときにも笑いが起こっていたが、これは観客は状況を理解してたってことなのかな。
最初に訳を読んだときは、自分も頭の中がこんがらがって、王が自分(読者/観客)の気持ちを代弁しているのかと思ったが。
たしかに、演劇として実際に見るのは大きいと思う。
訳本だと、人物の手がかりは覚えにくいカタカナの名前だけだが(アーヴィラガスとかグィディーリアスとか)、舞台なら役柄にふさわしい服装をしているし、顔も違うから分かりやすい。
最後まで理解がついていけたどうか、未読で臨んだツレに後で訊いてみよう。

終盤、記憶が正しいか自信がないが、王妃は王にも毒を盛って弱らせたようなことを言っていたような……。
そうだとすれば、シンベリンがよく咳き込んで王妃が薬を渡すシーンは、ギャグの1つであると同時に、毒を盛られていることへの伏線か。



  

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