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Romeo and Juliet

International Theatre Company London "Romeo and Juliet" @明星大学シェイクスピアホール




ドジを踏んで30分遅刻してしまった。

入ったときでは舞踏会のシーンだった。

序詞と乳母の「仰向けに~」が聞けなかったのが残念。


行きの電車の中で河合訳を読んで予習したが、松岡訳に慣れているせいか違和感があった。

どことなく癖がある(カタカナと諺めいた言い回しが多いような)。

註があるのは助かる。


日野大学のシェイクスピアホールはこじんまりとした素敵な劇場だった。
ホールにはギャリック(18世紀の劇作家)が作成させたというシェイクスピア像があった。

グローブ座を模しているようで、舞台脇まで2階席が回り込んでいるし、舞台にはバルコニー(2F部分)が作りつけてある。

さすがに青天井ではなかったが、あのシェルター開閉できたら完璧なのに。

去年見た東京女子大講堂はよく聞こえなかったが、ここはさすが劇場だけあってちゃんと聞こえた。
機会があればまた来たい。


字幕はハの字型に開いた壁の両脇にプロジェクターで投影され、4行まで表示可能。

OUDSの字幕は発話内容の半分程度しか表示されず、あまり内容理解の助けにはならないが演技を見る妨げにはならなかったが、今回は真逆だった。

ほとんど訳書そのもので(ロミオ「 のような話者表示が追加)、本を読むようになってしまう。

一方、4行いっぱいに詰め込んでいるのと、非表示ができないようなので、まだ話していない内容まで表示されてしまうのは戴けない。

もっと改良の余地がある。


去年ハムレットを観たときにも書いたが、この劇団(ロンドンなんとか)はとにかく人が少ない。

ハムレットは7人だったが、今回は6人だった。

色々無理があったが、もっと人が少なくてできるシェイクスピア劇はないのだろうか。

分かった範囲で配役を書くと、

(1)ロミオ
(2)ジュリエット
(3)マーキューシオ=パリス=ロレンス
(4)ベンヴォーリオ=キャピュレット?
(5)乳母=大公
(6)ティボルト=キャピュレット妻=モンタギュー?

分かった矛盾としては、舞踏会の場面でティボルトがロミオを見つけ「小僧!剣を持ってこい」と召使いに命令しているのに自分で取りに行っていた。

マントヴァのロミオにジュリエットの死の知らせをもたらすのは召使いバルサザーではなくなぜかベンヴォーリオ。

役者は足りている(ベンヴォーリオにやらせればいいだけ)ので、バルサザーにした方が良かったと思う。

言葉遣い(字幕)も変更されていなかったので、急にロミオが偉そうに、ベンヴォーリオがへりくだったように見えるし、何よりベンがロミオとジュリエットの関係を知っているはずがない。

確か原作だとロミオがバルサザーに「ジュリエットに何かあったら知らせろ」と命ずるシーンがあったが、ベンヴォーリオにそう言うシーンもなかった。

ところで、原作ではベンヴォーリオはロミオ追放後どうしているのだろう?

マーキューシオが死んだ後は全く出てこなかったと思う。


また、役者不足のため霊廟にパリスが現れなかった。

これはラストの大公の悲しみを深める効果があるのであった方がいいと思うが、人手不足なので我が儘を言ってはいけないのだろう。

なお、大公の「身内を二人までも失った」は省略されていた。


会場の音響がよくてよく聞こえたせいか、和訳で予習したせいか、役者の発音がいいのか、英語はよく聞き取れた。


3時間(休憩15分含む)と比較的長いが、省略はわりと多かった。

オリジナルのダンスや死神の演出などがあったので、原作を忠実に再現することより自分たちのやりたいことをやる方向なのだろう(別に悪いことではないと思う)。

前半は見てないので分からないが、卑猥なジョークは減っていた(マーキューシオがロミオと洒落合戦したり乳母をからかったりするシーンには残る)。

乳母の「立ちなさい!男でしょ!」も性的な意味があるらしいが、少なくとも字幕ではそういう意味には連想しにくかった。


明星大学ではRJ副題コンテストをやっていて、終わった直後は「6人でシェイクスピア」(もちろん「3人でシェイクスピア」のパクリ)やら「RJ~ダイジェスト版~」だのロクな題が浮かばなかったが、後から考えてみると「かろやかな悲劇」だったと思う。

RJがスピード感溢れる展開なのに加え、観客を笑わせる演出を取っていたこと、それと分量が減っていたこと(笑)。


ロミオはラーメンみたいな金髪を肩まで伸ばし、赤いチョッキにベルトの派手な服装。

同行者は「遊び人ぽい」と言っていたが、確かに純愛するようには見えない。

むしろティボルトのが真面目そうだった。


舞踏会の場面でジュリエットが太陽の仮面をつけているのは後の場面の「ジュリエットは太陽」云々への伏線?だろう。

バルコニーシーンでは、敵との恋に苦しむというよりは恋をして舞い上がっているようだった。


マーキューシオは継ぎはぎの道化の衣装を来ていたが、河合訳によると道化はキャピュレット家の召使い(ロミオに招待状を読んでもらう人)らしい。

マーキューシオが死ぬときはベンヴォーリオと引っ込まずロミオの眼前で息絶えたが、ティボルトを殺しロミオが逃亡するところで休憩に入り、すぐにトイレに行ってしまったので退場のタイミングを見逃した。

なお、後半は大公(今回はキャストの関係で女帝だ)がロミオ追放を言い渡すところから始まるので、場面の途中で切っていることになる。(そう言えば、ハムレットもそうだったような)


乳母はマーキューシオ達の冗談を面白がっているのが意外だった。

また、ジュリエットにパリスと結婚するよう勧めるシーンでは、何かの本で指摘されていたように(『シェイクスピアを読み直す』あたりか?)、現実を正面から捉えて最良のアドバイスをしているように見えた。

もっと図々しく、あっさりと心の切り替えをするイメージがあったが、今回は優しくいたわる口調だった。


ティボルトはフランス流のキザな奴になっていた。

手をぶん回すお辞儀はどこかで(ギャグとして?)見たが思い出せない。。。気になる。

何かの演劇かビデオで宮廷のマナーを揶揄していたような……。


ベンヴォーリオは某アニメのせいで気弱で優しい青年のイメージがあったが、今回は中年に差し掛かった男性で、酒瓶を片手に酔っ払ってみたり、キャピュレット邸近くで立小便をしてみたり、だいぶ猥雑としたイメージだった。


ジュリエットが薬を飲むシーンでは、「ティボルトがゾンビになって襲いにくる」云々の妄想が語られるが、その際影絵でティボルト?が襲いに来るのが面白い演出だと思った。


オリジナルの演出として死神が加わっていた。

ロミオ達の結婚のシーンの直後に現れて不吉な展開を予感させたり、ロミオに薬を売ったりしていた(薬を売る際は一言も発せず、ロミオの「お前は貧しいんだから薬を売れ」云々もない)。

私は見逃してしまったが、同行者の話だと序詞もこの死神が話したらしい。


場転のために台(椅子や寝台などの代わり)を動かすのは石像みたいな扮装の人がやっていた。

ジュリエットが乳母にロミオからの返事を聞くシーンではずっと弓を掲げていて、いなくなったら腕を下ろしてさするなど、笑いを取る演出も。

バルコニーシーンの直前、ロミオがキャピュレット家に侵入する際に像が動いている意味が分からなかったが、同行者曰く「庭を進んでいく様子を表しているのではないか」。

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