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マクベスがいっぱい!

CAPTAIN CHIMPANZEE 「マクベスがいっぱい!」

CoRich

チケプレが当たってきたので、友人と観てきた。

※ ネタバレ注意 ※

チラシのあらすじによると、かつての看板役者がマクベス役を勝ち取るため、現在のスター役者を消そうとする話のように思われるが、実はハートフルコメディ(?)だった。

イメージと全然違ったのでびっくりした。

ポスターがかわいらしかったが、そのイメージの通り、小学生の子供を連れてきてもほのぼのできていいのでは。


うまいと思ったのは、タイトルのつけ方。

「マクベスがいっぱい!」は、1つの意味としては文字通り「マクベス」がたくさん登場するということ。

劇中でシェイクスピア・カップなる演劇コンテストの予選が行われ、その課題が『マクベス』。

だから何人もの役者がマクベスを演じるのを目にすることになる。

それで、「マクベスがいっぱい」。

これは登場人物がはっきりそう言うことによって示される。

だが、おそらくそれだけではない。

登場人物が「それだけの意味だったの!?」と反応するのは、それだけではないということを暗に伝えているのではないかと思った。


で、他の意味はというと、マクベスは演劇を続ける役者たち(これは登場人物たちでもあるし、おそらく劇団員自身もか)のことなのである。

ストーリーの中で、「自分の才能のなさに気づく」というモチーフが何度も繰り返される。

才能がないのに、才能があると思い込まされてしまったのは、周りの人たちの「きっと大スターになれるよ」という言葉が原因。

これを”魔女の予言”だとしている。

主人公の回想シーンでも、演劇部スターの主人公のファンの女学生たちが最後に魔女の仮面をつけていた。

才能がないとわかっても、王位を得たマクベスのように”バカをやり続けるしかない”、もう他に何も残っていない、という気持ちのようだ。

この意味に思い当たったのは、終盤、主人公がコンクールでマクベスを演じている際に、閻魔大王の娘(!?)の妨害で停電し、あわや失格となるところを、主人公の先輩(雑貨屋で「くるくるライト」を大プッシュしている)とその仲間がくるくるライトで一生懸命主人公を照らし、芝居を続行させるシーンである。

みんな傍から見るとバカなんだけど、そういうことか、と分かった。

ストーリーはよくありがちなんだけど、このタイトルのつけ方は、うまい。

ともすると『マクベス』が関係なくなってしまうところを、このタイトルの概念がぎりぎりのところで繋ぎ止めていた。


閻魔大王と守護霊とか、主人公が愛か夢かで悩んだりとか、いろんな要素が出てきて前半はついていくのがちょっと大変だったが、ラストできちんと風呂敷をしまいきれていたのはよかった。

でも、幼児虐待の話は入れなくてもよかったかも。

ちょっと詰め込みすぎのような気もする。

きちんと関連性が示されているのは評価したいが、色々入りすぎていてややフォーカスがぼけてしまっている感じ。

守護霊の設定はあれはあれで魅力的なので(個人的には強そうなお姫様が気に入った)、その設定を生かしたシリーズ(閻魔大王の娘と中間管理職の恋模様とか)を出してもいいのではないかと思う。


主人公が恋人(妊娠中・一人娘)と結婚して彼女の家業を継ぐか、別れて芝居を続けるか、という問題は最後うやむやにされた感がある。

あの流れだとおそらく演劇を続けるのだろうが、そうなると恋人&子供の立場が微妙だ。

完全に別れたわけじゃなくて、最後に会いに行っているんだが、それだと別居婚??

ちょっと男性に都合よくないか……?

生まれてくる子供が本当に幸せになれるのか、ちょっと疑問。


ギャグとして、マクベスのパロディと、有名劇団の名前のもじりが出てきて爆笑した。
「血の染みが消えない」が貞子だったり、悪の帝王ダンカンを倒すマクベス5人組が出てきたり、劇団雨季やら劇団新感感(言いにくい)やら宝箱歌劇団やら(笑)。
”世界のニナガワ”まで出てきて灰皿投げてたなぁ。


連れが『マクベス』読んだことないと言うので、「アレンジ物は元ネタを知らない観客にも分かるように作られているか」ということを頭の片隅に置いて観ていたのだが、親切にもあらすじ紹介があった。

劇団でマクベスをやることになって、台本研究でみんなでマクベスの台本を読んでいた。

比較的自然なかたちでの紹介、といえるだろうか?

キャラメルボックスの「ペリクリーズ」みたいに(博士キャラが出てきて解説)思いっきり不自然な形でやっちゃうのも味があっていいが、失敗すると痛そうだ。


冒頭のシーン(マクベスが3人の魔女と出会う場面の仮面劇)、バンクォーがいないのはおかしいと思ったが、それは終盤で説明されて納得した。

役者が四人しかいないという設定なのだ。

じゃあしょうがないな。

世の中には「マクベス」含むシェイクスピアの悲劇と史劇を3人で演じる劇団もあるのだから、四人だって不可能じゃないんだろう。
3人でシェイクスピア

 

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